【保存版】競合他社のWeb戦略を丸裸にする分析ステップと活用術
自社のWeb戦略を考える際、多くの中小企業経営者様が「何から手をつければよいかわからない」という壁にぶつかります。実は、最も効率のよい出発点は競合他社の分析です。競合が何に力を入れ、何に力を入れていないかを把握するだけで、自社が優先すべき施策の優先順位が見えてきます。本記事では、専門知識がなくても実践できる5つの分析軸と、具体的なツールの使い方を解説します。
結論:5軸×5ツールで競合戦略を完全把握
競合他社のWeb戦略は、5軸×5ツールで完全に把握できます。 SimilarWeb・Ahrefs・Ubersuggestなど無料/低コストツールを組合せ、流入元・キーワード・コンテンツ戦略を丸裸に。
派手なツールを使いこなす必要はありません。本記事で紹介する5つの視点は、月々数千円〜数万円程度の低コストツールと、無料ツールの組み合わせで実践できます。順番に沿って進めれば、初めて競合分析に取り組む方でも半日程度で自社の立ち位置と伸びしろを把握できると考えられます。分析結果は一度きりで終わらせず、社内の共有シートに記録しておくことで、次回改修時の判断材料としても活用できます。
5軸の分析
競合分析は「検索順位だけ」「SNSのフォロワー数だけ」といった単一指標で判断すると、実態を見誤りやすいものです。以下の5つの軸をセットで確認することで、競合他社がどのチャネルに力を入れ、どこにコストをかけていないかという「戦略の輪郭」が浮かび上がります。まずは自社と競合2〜3社を選定し、同じフォーマットで並べて記録していくことをおすすめします。
1. SEOキーワード(Ahrefs/Ubersuggest)
AhrefsやUbersuggestに競合サイトのドメインを入力すると、そのサイトが実際に検索順位を獲得しているキーワード一覧、想定検索ボリューム、推定オーガニック流入数が表示されます。ここで注目したいのは、自社サイトでは対策していないのに競合が上位表示されているキーワード、いわゆる「コンテンツギャップ」です。業種の相場観として、地域名+サービス名の複合キーワード(例:〇〇市 外壁塗装)で競合が記事を持っている場合、同テーマの記事を自社ブログで用意するだけでも流入増加が期待できます。無料範囲でもUbersuggestであれば月数回まで検索を試せるため、まずは主要競合3社分を無料枠で確認してみることをおすすめします。
分析の基本手順
- 競合サイトのドメインをツールに入力し、上位表示中のキーワード一覧を出力する
- 検索ボリュームが月100〜1,000程度の中規模キーワードを優先的に抽出する
- 自社サイトに同テーマの記事があるか照合し、なければ執筆候補としてリスト化する
2. 流入元(SimilarWeb)
SimilarWebでは、競合サイトへの流入が「Direct(直接流入)」「Search(検索)」「Social(SNS)」「Referral(他サイト経由)」「Paid(広告)」のどの経路から来ているかを比率で確認できます。たとえばSearch比率が高いサイトはSEOに投資している可能性が高く、Social比率が高いサイトはInstagramやX(旧Twitter)からの誘導を軸にしていると推測できます。自社の流入構成と見比べたとき、極端に偏っている経路があれば、そこが伸びしろになっている場合が多いと考えられます。無料プランでも直近の概算データは確認できるため、まずは自社と競合上位2〜3社を並べて比較してみると、業種としての「勝ちパターン」の傾向がつかみやすくなります。
3. コンテンツ戦略(手動分析)
ツールでは測れない部分は、実際にサイトを見て手動でチェックします。確認する項目の例は、トップページの更新頻度、サービスページの本数と情報量、料金や事例の開示レベル、ブログの更新ペースと過去半年の記事本数、問い合わせ導線(電話/LINE/フォーム)の設置箇所などです。特に料金の開示レベルは業種によって差が出やすく、価格を明示している競合が増えている場合は、自社も概算価格帯だけでも掲載することで問い合わせ前の離脱を減らせる可能性があります。ブログ本数と更新頻度は、SEO投資の本気度を測る簡易的な指標として活用できます。
4. SNS活用(HypeAuditor)
HypeAuditorなどのSNS分析ツールや、各SNSの公式アカウントを直接確認することで、投稿頻度・フォロワー増加率・エンゲージメント率(いいね数・保存数に対するフォロワー比率)を把握できます。フォロワー数だけを見ると規模感を見誤りやすいため、直近10投稿程度の平均エンゲージメント率まで確認することをおすすめします。一般的な目安として、エンゲージメント率が2〜3%を超えていれば、フォロワーとの関係性が比較的良好なアカウントと判断できると考えられます。自社の投稿頻度・反応と比較し、どのSNSに注力すべきかの判断材料にします。
5. 広告出稿(Meta Ad Library・Google Ads Transparency)
Meta Ad Library(Facebook・Instagram広告の公開検索ツール)とGoogle Ads Transparency Centerを使うと、競合が実際に配信している広告クリエイティブ・訴求文言・出稿期間を無料で確認できます。長期間同じ広告を出し続けている場合は、一定の成果が出ている可能性が高いと判断できます。逆に広告出稿が見当たらない競合は、オーガニック集客(SEO・SNS・紹介)に軸足を置いていると推測できます。自社が広告予算をどこに配分すべきか検討する際の一次情報として、施策着手前に必ず確認しておきたい項目です。
主要ツール
以下は、実際に中小企業のWeb戦略分析でテラデザインが活用しているツールの組み合わせです。まずは無料範囲で試し、継続的に分析が必要と感じた段階で有料プランへの移行を検討することをおすすめします。
- SimilarWeb(無料〜)
- Ahrefs(月99ドル〜)
- Ubersuggest(月29ドル〜)
- Meta Ad Library(無料)
- Google Search Console
ツールを選ぶ際のポイント
- 無料トライアルがあるツールから着手し、自社に必要な機能を見極めてから契約する
- 複数ツールのデータを1つのスプレッドシートにまとめ、月次で更新して推移を記録する
- 分析対象の競合は最大でも3〜5社に絞り、広げすぎない
- 数値だけでなく「なぜその数値になっているか」の仮説まで書き添える
中小企業事例:埼玉県サービス業「Web流入5倍」
埼玉県内でサービス業を営むクライアント様(従業員10名程度)の事例です。改修前は月間Web訪問者数が伸び悩み、問い合わせの大半が既存客からの紹介に依存している状態でした。そこで上記5軸の分析を実施したところ、競合2社がブログ記事による地域名×サービス名のキーワードで安定した検索流入を獲得している一方、自社サイトには同種の記事がほとんど存在しないことが判明しました。この結果をもとに、コンテンツギャップの埋め合わせを中心とした改修を行いました。
| 項目 | 改修前 | 改修後(6ヶ月) |
|---|---|---|
| 月Web訪問者 | 1,200 | 6,200 |
| 月粗利 | 約240万円 | 約460万円(+92%) |
改修で実施した主な施策は次の3点です。
- 競合分析で判明したコンテンツギャップをもとに、地域名×サービス名の記事を月4本ペースで追加
- 流入元分析でSearch比率の低さが判明したため、サービスページの見出し構成をSEO観点で再設計
- 問い合わせ導線をLINE公式アカウントに一本化し、フォーム離脱を軽減
数値はあくまで一例ですが、業種の相場観として、検索流入に依存していなかったサイトがコンテンツ整備に着手した場合、半年程度で訪問者数が3〜5倍程度に伸びるケースは珍しくないと考えられます。重要なのは施策そのものより、競合分析によって「何を優先すべきか」の仮説を立ててから着手した点にあります。
競合分析は一度実施して終わりではなく、四半期に一度程度の頻度で見直すことをおすすめします。市場環境や競合の施策は常に変化するため、定点観測を続けることで、自社の立ち位置を客観的に把握し続けられると考えられます。分析結果をもとにした改善の進め方でお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。
著者プロフィール
小宮山 泉(株式会社テラデザイン代表)。東京都八王子市を拠点に、中小企業・個人事業主向けのWeb制作とAI活用支援に携わっています。競合分析を起点にした改善提案を得意とし、業種を問わず伴走型でサポートしています。
